アルツハイ

100歳姉妹のきんさん・ぎんさんはアルツハイマー病だった!?

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きんさん・ぎんさんはアルツハイマー病だった?!

 

アルツハイマー病の所見があっても大丈夫?!

加齢とアルツハイマー病について研究するプロジェクトに「ナン・スタディ」があります。ナン・スタディは、アメリカ・ミネソタ大学(当初はケンタッキー大学)の予防医学研究グループが、ノートルダム修道院の修道女の協力を得ておこなっているもので、1986年から始まり、現在でも調査・分析が継続されているプロジェクトです。

興味深い報告として、101歳で死亡したシスター・マリーのエピソードがあります。

彼女は、死亡する直前まで、知能テストで高得点を獲得し続け、何事にも前向きに挑戦し、若者たちと一緒に福祉活動などを積極的におこない、活発な暮らしを送り続けていました。つまり、アルツハイマー病とみられる症状は、みじんもありませんでした。

ところが死後、脳の病理検査をしたところ、彼女の脳は萎縮が進み、さらに老人斑や神経細胞の変性が数多く発見され、アルツハイマー病の所見があらわれていたことが確認されたのです。にもかかわらず、生前の彼女は認知機能にまったく衰えをみせていなかったのです。

Elder care nurse playing jigsaw puzzle with senior woman in nursing home

きんさん・ぎんさんはアルツハイマー病だった

日本にも近い例があります。かつて100歳という長寿で人気を博した双子の姉妹「きんさん、ぎんさん」こと、成田きんさんと、蟹江ぎんさんの例です。彼女たちはよくテレビに出演していました。とても明るくて、元気そのものでした。

アルツハイマー病の研究者は、2人がどうして元気に活動できたのかを知るために、死後、遺族の承諾のもと、ぎんさんの脳を病理解剖しました。

その結果は驚くべきもので、彼女の脳は典型的なアルツハイマー病のそれだったのです。

彼女たちは、100歳でも、足の筋肉の衰えを防ぐため、筋力トレーニングをおこなっていたそうです。そして何より毎日を楽しく、前向きに生きていたのだと想像することができます。

 

シスター・マリーも、きんさん、ぎんさんも、りっぱなアルツハイマー病の脳を持っていながら、認知機能は正常でした。これは「正常認知機能とアルツハイマー病の病理所見が乖離(かいり)している」ということです。老人斑や神経原線維変化が出ても、必ずしも認知機能を障害することにはならないということなのです。

 

昔からよく「頭を使っているとボケない」といわれていますが、頭を使うということは、神経細胞の活動を活発にしていることであり、頭脳活動をすればするほど知識の習得はさかんになります。そして、その結果、使われる神経細胞の数は全体として増えていきます。このことから「認知予備力仮説」と呼ばれる概念がうまれました。

 

「認知予備力」とは、活発に活動した経歴のある神経細胞の全体量のことで、仮にいくつかの神経細胞が、老化やアルツハイマー病などの変化で脱落していっても、この認知予備力が多ければ、活発に活動できる神経細胞の数にまだ余裕があることになります。逆に、認知予備力が少ないと、同じように神経細胞が脱落したら、早々に認知症の症状があらわれると考えられるのです。

また、認知予備力は、神経細胞のコネクションに関係しているといわれています。

よく使う活性化した神経細胞は、数多くの神経細胞と交流を持っていて、神経細胞がいくつか失われたとしても、すぐに他の細胞が代役を務めてくれると考えられているのです。

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