アルツハイ

最先端のメモリークリニック(認知症専門外来)とは

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 「MCI(軽度認知障害)かな?」と疑いをもったとき、何科を受診すればいいのでしょうか? 

 

 精神科? 神経内科? 脳神経外科? 最近では、もの忘れ外来、認知症外来、あるいはメモリークリニックと銘打った専門外来が設置されている医療機関も増えてきました。

 しかし、問題なのは、これら医療機関において、実際に「早期発見が可能か」どうかということです。

 

残念ながらほとんどが「ノー」なのです。

 

 アメリカではかなり以前から、認知症専門のメモリークリニックが確立されていて、そこでは極めて医学的、科学的、合理的な診断がなされています。

 実際の初診のメニューを見てみると、スクリーニングのための知能テストはもちろんのこと、検体検査や画像診断があり、総合的な診断を行っていることがわかります。

 例えば、検体検査のひとつに、脳脊髄液の検査があります。これは、脳脊髄液を分析することによって、脳の中のアミロイドβとタウの存在を調べる検査です。

 脳脊髄液は、脳の中でつくられ、脳や脊髄の組織を覆い、中枢神経系の保護や機能の維持、栄養物質の輸送、さらには老廃物の排泄という役割を担っています。脳内の神経細胞でつくられた老廃物は、この脳脊髄液を介して排出され、やがて静脈に流れていって最後は分解されてしまいます。

 アミロイドβとタウも、そうした老廃物のひとつですが、前にお話ししましたように、アルツハイマー病ではそれがうまく排出されませんから、これらのタンパク質の有無、あるいはどのくらい蓄積しているかで、アルツハイマー病か否か、あるいはその進行状態がわかるというわけです。

 検体検査では、ほかにもTSH(甲状腺刺激ホルモン)値、ビタミンB12、葉酸レベル(濃度)などを調べます。

 TSH値では、甲状腺ホルモンの状態がわかります。

 甲状腺ホルモンは、全身の代謝を維持するのに重要なホルモンで、このホルモンが低下すると、活動性が鈍くなり、昼夜を問わず眠く、全身の倦怠感が強く、うつ状態や認知症状が現れることがあります。つまり、TSH値が低い場合は、「甲状腺刺激ホルモンの分泌低下→甲状腺ホルモン分泌低下」が起こり、アルツハイマー病と似たような症状が現れているということも考えられるわけです。

 また、ビタミンB12の欠乏では巨赤芽球性貧血(巨大な赤血球の母細胞が現れ、赤血球が不足して起こる貧血)がよく知られていますが、血液学的異常とは無関係に、あるいは血液学的異常を伴わずに、神経症状が出現します。

 患者さんによっては、イライラ感と軽度のうつ症状が見られ、進行すると、パラノイア(巨赤芽球性狂気)、せん妄、錯乱、痙性運動失調や、ときに起立性低血圧が起こることがあります。こうしたビタミンB12欠乏症による症状もまた、アルツハイマー病などの認知症の症状と酷似しています。

 このように、ホルモンやビタミン欠乏でも神経症状が出るため、鑑別のため検査の必要があるわけです。

 ちなみに、葉酸レベルを測定するのは、巨赤芽球性貧血の原因として、ビタミンB12欠乏によるものと、葉酸欠乏によるものとがあり、それを鑑別する必要があるからです。ただし、葉酸を補給するとビタミンB12欠乏が覆い隠されることがあり、また巨赤芽球性貧血は軽快するものの、神経的異常を進行させることがあります。

 

 少々詳しい話になりますが、ApoE(アポリポタンパク質E)遺伝子の検査というのものも行われています。

 ApoE遺伝子は、アルツハイマー病や高齢者の認知機能の低下に関与するといわれている重要な遺伝子のひとつで、ε2、ε3、ε4の三つの対立遺伝子があり、それぞれに対応するE2、E3、E4と三つのアイソフォーム(構造は異なるが同じ機能をもつタンパク質)が存在します。

 ApoEは主に肝細胞でつくられ、脳脊髄液の中にあるリポ蛋白と結合して、脳の神経細胞内に取り込まれ、中枢神経系の発達時期や神経細胞損傷後の修復期に、神経細胞への必要なコレステロールなどの脂質の輸送に関与していると考えられています。

 また、アルツハイマー病発症につながるアミロイドβと結合して、その蓄積や毒性を防ぐ分解作用があるといわれています。

 このときの作用の強さが、Apo遺伝子型によって異なり、ε4を多くもつほど、アルツハイマー病の発症リスクが高くなるといわれています。つまり、遺伝子は同じものが二つずつありますから、ε3 /ε4よりもε4 /ε4の組み合わせのほうが、リスクが高くなるということです。

 

 しかし、これはあくまでも「可能性」の問題で、ε4 /ε4だから必ずアルツハイマー病を発症するとは限りません。

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