アルツハイ

最新研究でここまで解明したアルツハイマー病!

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ここまで分かった最新アルツハイマー研究

Human brain research and memory loss as symbol of alzheimer’s concept with missing pieces of the puzzle

アルツハイマー病の原因を解明するために、これまで多くの研究者が心血を注いで挑んできました。それは患者の脳の病理所見から、すなわち、アルツハイマー病患者の死後に、その脳の病理所見をおこなうことから始まりました。そして脳の中では、「老人斑」と「神経原線維変化」という2つの特徴的な構造変化が起こっていることがわかりました。

・老人斑は、「アミロイドβ」と呼ばれるタンパク質が固まってできた脳のシミ

・神経原線維変化は、神経細胞内に形成される糸くず状の物質

アルツハイマー病を発症した人の脳では、アミロイドβという神経細胞毒性の強いタンパクが神経細胞外に沈着し、老人斑となります。アミロイドβはいわば老廃物で、健康な人の場合は脳から排出されるのですが、排出されずに蓄積されてしまうことがアルツハイマー病の発症に関係しているとされているのです。さらにアミロイドβが蓄積して、ある程度年月が経つと、今度は神経細胞の中に糸くずのようなものが蓄積します。これが神経原線維変化で、「タウ」というタンパク質が凝集することで起こります。

 

大隅教授のノーベル賞の研究成果とは

2016年、東京工業大学の大隅良典栄誉教授が「オートファジー(自食)の仕組みの発見」でノーベル医学・生理学賞を受賞したことは、まだ記憶に新しいと思いますが、神経原線維変化は、そのオートファジーの細胞内をきれいにする浄化作用がうまく機能しなくなって、タウタンパク質が溜まり放題になっている状態ともいえるかもしれません。アミロイドβが記憶障害に関係するのに対して、この神経原線維変化は、神経細胞の死滅や記憶障害以外の症状に関係すると見られています。

つまり、

①アミロイドβが溜まる(老人斑の形成)

②タウタンパク質が溜まる(神経原線維変化)

③神経細胞が減少・死滅する

というメカニズムが、アルツハイマー病の病理所見であり、その結果、日常生活に支障をきたすというのが、これまでのアルツハイマー病研究での主流となっていた考え方で、これを「アミロイド仮説」といいます。

 

間違いだった「アミロイド仮説」

研究者たちは前出の病理所見に、アルツハイマー病の原因と結果があると考えました。ところが、予期せぬ大きな問題にぶつかったのです。それは、老人斑がアルツハイマー病患者だけでなく、健常者の脳にも見出されたことでした。さらに、アルツハイマー病患者の認知機能障害と、この老人斑の数には、まったく関係がないという事実も報告されました。

しかし、物事はそう簡単に変化するものではありません。世界中の有力な製薬会社はそれを無視して、こぞって巨額の研究費を投じ、このアミロイド仮説に基づいた治療薬やワクチンの開発、臨床試験をおこないました。ところが2010年、アメリカの大手製薬会社から「アミロイド療法で認知機能の回復は実現できなかった」という、敗北宣言ともとれる報告があり、アミロイド仮説が揺らぎ出したのです。そして、アミロイド療法は治療には向かない、むしろMCIの人を対象とした予防に期待しようと、現在では予防薬の臨床試験が進められているのです。

An elderly woman sitting at a table in a depressed state.

同じ年、もうひとつショッキングなニュースが飛び込んできました。それはディメボンと呼ばれる薬物に関してです。ディメボンは、臨床試験で認知機能の回復を認めましたが、その作用機序は不明でした。作用機序の解明に、この薬をマウスに投与ししたところ、誰もがマウスの脳のアミロイドβ量が減少すると予想していたにもかかわらず、結果はまったく逆で、アミロイドβ量は増加していたのです。これは、今までのアミロイド仮説では説明できないことでした。アミロイドβが増加することと、アルツハイマー病の病理変化は、まったく関係のないことだったのです。

 

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