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MCI(軽度認知機能障害)を知れば認知症は予防できる!

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 MCIとは、Mild Cognitive Impairment=軽度認知機能障害。まだ認知症とは呼べない、いわば「認知症予備軍」「正常と病気のグレーゾーン」の段階です。

 大きくは「健忘型MCI」と「非健忘型MCI」に分けられ、前者は、もの忘れを主体とするMCIで、多くはアルツハイマー病に進行し、後者は、失語や失行などもの忘れ以外の症状を主体とするMCIで、前頭側頭型認知症やレビー小体型認知症などに移行します。

 

一般に、MCIの定義は、次の5項目が全部当てはまるものとされています。

 

・本人または家族(介護者)によるもの忘れの訴えがある。

・客観的に記憶障害がある(新しいことを覚えられない、維持できない、思い出せない)

・日常生活は基本的にできる。

・全般的な認知機能は保たれている。

・認知症は認めない。

 

さて、認知症を食い止めるには、発症前にこのMCIを自覚し、検診を受けることが重要です。とはいっても、これは口でいうほど簡単なことではありません。ほとんどの人は、ちょっとくらいもの忘れが多くなっても、「これはきっと老化現象だ」と思ってしまい、「自分は大丈夫」と、事実を受け入れることができない傾向にあります。

 しかし、先ほどもいいましたように、MCIが進行し、認知症が発症してしまった時点では、もう手遅れで、予防の余地もありません。MCIに気づき、もしそうと判明したなら、それを受け入れて対応できるか否か、それがMCIから認知症に移行することを予防できるかできないかの、大きな分かれ道となるのです。

 厚生労働省においても、「DSM-Ⅳのような従来の標準的な認知症の診断基準に示された項目を満たすようになった段階では、決して早期とはいえない」と指摘しています。

 DSM-Ⅳとは、アメリカ精神医学会がまとめた「精神障害の診断・統計マニュアル(第4版)」のことで、現在広く用いられている診断基準のひとつですが、こと認知症に関していえば、MCIをスクリーニングすることはできないということなのです。

 今は、パソコンやタブレット端末を使って、自分でMCI状態を判別できるMCI早期発見のためのツールなどもありますから、そうしたものを活用して、定期的にチェックすること。そして、少しでも評価に変化が現れたなら、速やかに脳PET検査を受けるべきなのです。

 もちろん、MCIの方が、将来必ず認知症になるとは限りません。半数は認知症に進まないといわれています。しかし、逆にいえば、何もしなければ半数の人は認知症になる可能性があるということです。

 ちなみに、記憶障害のみのMCIでは、4年後の認知症への移行は24%、言語・注意・視空間認知の障害のいずれかを併せもっている人の移行率は77%といわれています。

 もし、MCIと知らずに放置していたら……。考えるだけで恐ろしいことだと思いませんか?

先ほど、アミロイドβは、アルツハイマー病を発症するずっと以前から蓄積が始まっているということをお話ししましたが、MCIとはまさにそうした段階を示すものです。

脳神経細胞数が時間経過とともに減少していくことはわかると思いますが、この発症前期=MCIの段階では、まだ脳神経細胞がかなり残っていることがわかります。

 つまり、脳神経細胞が残っていれば、適切な治療を行うことで、MCIから認知症への移行を防ぐことは十分可能だといえるのです。

 

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