悩み

どのような運動が脳の働きを活性化するのか

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運動をすることで、筋肉細胞から放出されるイリシンというホルモンが、脳の細胞死を抑制する神経栄養因子を増やし、脳神経細胞の活性化や増加を促すとともに、神経伝達機能を向上させるとの報告もあります。

 

その他、運動が体内の酸化ストレスを減少させ、同時にインスリン分解酵素を活性化させて、タンパク質のリン酸化や蓄積を防ぐ効果があることも指摘されているところです。

 また、運動をするということは、脳に刺激がいくということですから、脳血流量が増えて栄養も供給されます。それが脳神経細胞を新たにつくったり、働きを活発にしているとも考えられます。

 

 アルツハイマー病の発症や悪化は、血管の状態も関係していると考えられており、そこに着目して、治療や予防に活かそうとする研究も進んでいます。アルツハイマー病を直接治療していないのに、血管にかかわる疾患を治療した人では、アルツハイマー病の進行を遅らせることができた、という報告もあります。

 

 また、脳の血流の低下が、アルツハイマー病のような変化を起こすことが、確認されています。脳の血流は、加齢とともに低下していきますが、その血流低下が脳に大きな障害を与えるのです。

 動物実験では、血流の低下が1年半続いたマウスでは、覚えているはずのエサのある場所に、すぐに行けなくなってしまったという行動異常が現れ、明らかな海馬の萎縮が認められています。

 アルツハイマー病においては、初期で海馬、その後後部帯状回、頭頂側頭連合野の血流が低下することが知られていますが、もしMCIの人に血流低下が起こると、アルツハイマー病発症のリスクが極めて高くなります。逆に、脳の血流を改善できれば、発症を食い止めたり、進行を遅らせることが可能だと考えられるのです。

 

 どのような運動方法が、効果的なのでしょうか。

 まず、運動には有酸素運動と無酸素運動がありますが、脳にいいのは、ウォーキングや軽いジョギング、サイクリング、エアロバイクなど、有酸素運動です。30分程度の運動を週3〜4回、できれば毎日行うことが理想的だといわれています。

 また、運動と同時に頭を使うとより効果的だということが、確認されています。

 愛知県大府市にある国立長寿医療センターと大府市が企画した、MCIの人を対象とした「認知症予防教室」では、ウォーキングをしながら、100から7ずつ引いていく計算をする、踏み台昇降をしながら、前に2つさかのぼってしりとりをするなど、ほかのことをしながら、息が軽く弾む程度で歩くというプログラムを1年間続けたそうです。そして1年後に、認知機能検査や画像検査、さらには海馬の萎縮度や活性度を調べたところ、参加者全体の結果では、通常は年々低下していく記憶力が向上し、海馬の萎縮は食い止めるどころか、改善していたといいます。

 MCIの段階では、このように、きちんとした負荷をかけて運動すれば、認知機能が回復することが可能だということが認められたのです。

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