予防

画像診断は、「治る認知症」を見つけるもっとも有効な方法

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認知症の検査でもっとも有効なのは画像診断です。

はっきり言いますが、認知症の検査でもっとも有効なのは画像診断です。なぜなら画像診断は、唯一客観的に脳のコンディションをみることができる方法だからです。

精神状態を分析すると、認知症と精神病は症状が重なり合う場合が非常に多いため、認知症なのに精神病と誤診されたり、精神病なのに認知症と誤診されたり、ということが起こる可能性があります。そのため、脳のどこの機能が壊れているかをまず見つけるためには、PET検査とMRI検査を組み合わせて診るというのが、基本中の基本なのです。とにかく心配だなと思ったら、「まずは画像診断」。

ただし、検査はどこで受けても同じではありません。

画像診断を積極的に取り入れている医師か、検査のための診断機器がある施設か、の選択は重要です。近くだから、馴染みがあるから、いつも診てもらっているからという気持ちは少し横に置いて、その医療機関はどの程度のレベルなのかを冷静に見極めることが大切です。「有名な大学病院だから」という安易な選択も、あまり感心できません。

認知症診断は「長谷川式認知症スケール」*参考資料あり、「MRI検査」、「FDG-PET検査」の3つがあります。長谷川式認知症スケールは、認知症検査で広く用いられているもので、

・自己の見当識(年齢を問う)

・時間に関する見当識(月、日、曜日、年)

・場所に関する見当識(ここはどこか)

・作業記憶(3単語の直後再生、数字の逆唱)

・計算・近時記(3単語の遅延再生)

・非言語性記銘(5品目の視覚的保持・再生)

・前頭葉機能

などを検査します。MRI検査では、大脳の萎縮や血管障害、梗塞などの有無を診ますが、これは 65 歳以上のアルツハイマー型認知症に有効で、進行期では大脳の萎縮がみられるようになり、特に記憶に深く関係している海馬と呼ばれる部位は、ほかの部位と比較して早い時期から萎縮が目立つようになります。ただしMRI検査では、MCIや初期の認知症は発見できませんから、PET検査は必須です。特にFDG-PET検査は糖代謝を診るもので、FDG(フルオロデオキシグルコース)というブドウ糖に似た薬剤に、フッ素 18 という放射性同位元素を標識にしたものを検査薬として使います。この薬剤の集まりが低下しているところが、糖代謝が低下しているところです。脳は、糖をエネルギー源としていますから、脳の糖代謝が落ちているということは、脳神経細胞が死んでいるか、機能が低下している状態ということになり、認知症の芽があると診断できるのです。

また、レビー小体病が疑われるときは、FDG-PET検査とあわせてFMT-PET検査をおこないます。レビー小体型認知症がパーキンソン病の症状を伴うことがありますが、このFMT-PET検査は、パーキンソン病および類似疾患における早期診断や進行度の評価ができる脳画像検査です。パーキンソン病もレビー小体病も、ドーパミン細胞にレビー小体が溜まる病気ですが、FMT-PET検査をおこなうと、薬剤の集積(取り込み)が少なくなっていることがわかります。つまり、これはドーパミン代謝が落ちているということで、このことからレビー小体型認知症であることが判断できます。ちなみにFMT-PET検査はFMTという薬剤に、FDG-PET検査と同様フッ素 18 を標識にしたものを検査薬として使用するため、2つの検査を同じ日におこなうことはできません。

 

50歳を過ぎたら定期的に脳PET検査を受けるべき

PET検査は早期がんの発見が可能なため、人間ドックなどのがん検診では必ずおこなうべき検査です。そのため、がん検診のときに、脳PET検査も一緒に受けてほしいと思います。MCIが認められるのは、おおよそ 50 歳以降ですから、少なくともその年齢になったら、定期的に脳PET検査を受けるべきでしょう。

「最近、物忘れが多くなってきて心配」

「家族から、最近急に怒りっぽくなったといわれた」

と相談に来る患者さんに対して、多くの医療機関では簡単な問診、よくてMRI検査をおこなう程度で、あとは何もせずに「今のところ異常はないので、しばらく様子をみましょう」というだけです。

しかし、その間に認知症はどんどん進んでいます。いよいよ認知症の症状が出て、困った状態になって受診すると、今度はMRI検査で「やはりアルツハイマー型認知症ですね」などと診断されるのです。

せっかく早めに受診しても、こんな結果では、たまったものではありませんね。

だからこそ、どこの医療機関で診てもらうのか、どんな医師に診てもらうのかということに慎重になるべきなのです。

 

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