予防

PETを中心とした画像診断検査で認知症の「芽」を探す

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放射線科医の重要な仕事のひとつは、検査画像の「読影」。つまり、MRIやCTなどをはじめとする画像診断検査で撮影された画像から、異常はないか、どこかに病気が潜んでいないかを読み取ることです。また、放射線科医は、画像から得られる情報によって診断をするので、画像診断医とも呼ばれます。

 重要なことは、

「認知症の検査で最も重要なのは画像診断検査である」

 ということです。

 そして、変性性認知症であるアルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、認知症を伴うパーキンソン病、前頭側頭型認知症の四つを診断するときには、少なくともPETとMRI検査が必要だということです。

 では、実際に、どのような画像診断を行うのか、アルツハイマー型認知症を例に、見ていくことにしましょう。

 

 画像診断は、形態診断と機能診断に分けられ、前者はMRI診断、CT診断、後者はSPECT、PETでの診断を行います。

 MRI診断、CT診断では、大脳の萎縮や血管障害、梗塞などの有無を診ますが、これは65歳以上のアルツハイマー型認知症に有効で、進行期では、側脳室の拡大、脳溝の拡大、シルビウス裂の拡大などの大脳の萎縮が見られるようになり、とくに海馬は、ほかの部位と比較して早い時期から萎縮が目立ちます。

 一方、SPECT(single photon emission computed tomography=単一光子放射断層撮影)検査は、従来のCTでは表せなかった血流量や代謝機能の情報が得られ、アルツハイマー型認知症では主に脳の血流状態を診るために使います。脳の機能が低下している部分というのは、血流が低下していますから、症状だけでは診断できないMCI(軽度認知機能障害)をこのSPECT検査で見つけられることがあるのです。

 さらに早期発見が可能なのが脳PET検査です。

脳PET検査には、PIB-PET検査とFDG-PET検査があり、最も早期発見が可能なのはPIB-PETです。

 PIB-PET検査は、アミロイドβに集まる性質を持つPIB(Pittsburgh Compound-B)という放射性薬剤を使用して、脳にアミロイドβが蓄積しているかどうかを調べる検査です。検査方法はいたって簡単で、PIBを静脈注射し、しばらくしてからPETで脳を撮影するだけです。脳にアミロイドβが溜まっていると、その部分がはっきりと映し出されます。

 ただし、PIBは老人斑のアミロイドβに特異的に結合するわけではなく、脳血管のアミロイドβにも結合することがわかっており、レビー小体型認知症の80%においてもPIBの高い結合がみられると報告されていることを付記しておきます。

 他方のFDG-PET検査は糖代謝をみる検査で、フルオロデオキシグルコース(FDG)というブドウ糖に似た薬剤に、フッ素18という放射性同位元素を標識したものを検査薬として使用します。この薬剤の集まりが低下しているところが、糖代謝が低下しているところです。

 脳は、糖を唯一のエネルギー源としていますから、脳の糖代謝が落ちているということは、脳神経細胞が死んでいるか、機能低下状態ということになるのです。

 

 

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