予防

最も早期に認知症を発見可能なのは「PET」

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結論から申し上げますが、アルツハイマー型認知症における画像診断では、最も早期に発見可能なのがPET、次にSPECT、最も遅いのがMRIです。

 

これだけは知っておいてほしいのですが、MRIで「アルツハイマー型認知症です」と診断されたときは、すでに手遅れだということです。

「最近、もの忘れが多くなってきたみたいで心配」と外来を訪れる患者さんに対して、多くの医療機関では簡単な問診を行う程度で、あとは何もせずに「しばらく様子をみましょう」というだけです。あるいは、MRI検査をして、「今のところ異常がありませんから、様子をみましょう」です。

 しかし、実際は、その間に、認知症はどんどん進んでいるのです。

 そして、いよいよ認知症の症状が出て、困った状態になって受診すると、今度はMRI検査で、「やっぱりアルツハイマー型認知症ですね」と診断されるのです。

 でも、この時点では、脳神経細胞は激減し、糖代謝は落ち、血流が低下し、病気を発見しても何の意味もないのです。すでにできあがった病変を見つけて診断しても、患者さんにとっては、何もよいことはありません。

 しかし、脳PET検査なら、早期発見ができます。

この段階で、このまま細胞数がほぼ横這いでいくのか(高齢化による老化) 、あるいは血管性認知症なのか、アルツハイマー型認知症の「芽」なのか、それを調べるために、脳PET検査をしていただきたいのです。

 そして、もし、アルツハイマー型認知症の芽があったなら、そこから投薬を開始します。

「アルツハイマー型認知症の薬は効かない」とよくいわれますが、それはほとんどの場合、MRIで発症を確認してから処方されるからです。つまり、手遅れになってから、薬を飲み始めるというわけです。

 それではどう考えても、効くわけがありません。一番重要なことは、脳神経細胞がまだ残っている段階で、早くPETで診断をしてもらい、それで投薬を開始することなのです。薬が効かないのは、診断が遅いからです。

 

PET検査は、早期がんの発見が可能なため、人間ドックなどのがん検診では必ず行う検査です。ですから私は、常々、「がん検診のとき、頭も一緒に診てもらってほしい」と、皆さんに申し上げています。MCIが認められるのは、おおよそ50歳代以降ですから、少なくともそのぐらいの年齢になったら、脳PET検査を受けるべきだと思います。

 医療機関によって異なりますが、脳PET検査の費用は約8万円、がんのPET検査と一緒に行った場合は15万円ほど。保険適用外の検査ですから、決して安い額ではありませんが、それによって早期発見、早期治療ができれば、認知症発症の可能性を潰すことができるのです。

 

あなたは、何もしないで、「認知症になるのではないか」と、ビクビクしながら過ごす道と、自分の健康状態を把握して、適切な対応をしつつ安心して暮らす道、どちらを選びますか? 

 積極的に後者を選ぶのであれば、適切な検査、すなわち脳PET検査を受けること。それが一番大事なことです。せっかく早めに検査を受けても、MRI診断でお茶を濁されたのでは、たまったものではありませんよね。

 

 診断・診察には、問診、触診、聴診などもありますが、これらは細かい診断が確実に行える方法とはいえません。現代医療において最先端の診断とは、画像診断にほかなりません。

 とくに、何度も繰り返しているように、認知症の「芽」=MCIの発見には、PET検査が極めて大きな力を発揮します。これをなぜ活用しないのか?

認知症検査におけるPET検査の必要性をもっと多くの医師・医療機関に知ってもらいたいと思いますが、精神科の医師も、神経内科の医師も、脳神経外科の医師も、押し並べて興味を示しません。

 

 これが現状です。

 

 認知症が、深刻な社会問題となっている今、日本でもアメリカのようなメモリークリニックのしくみがぜひとも必要なのではないでしょうか。

 もの忘れ?=MCI? という疑問をもって来院した患者さんに対して、「しばらく様子を見ましょう」などということは決してありません。PETを含めた適切な検査を行い、適切な治療・対応をしていくことが重要なのです。

 

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