症状

「二次性認知症」について

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先のブログで述べた変性性認知症に対して、何らかの疾患や外傷の影響を受けて発症する認知症を二次性認知症といいます。

 

 認知症を引き起こす原因となる疾患は70種類もあるといわれていますが、例えば、血管性認知症の原因となる脳梗塞や脳出血、くも膜下出血といった脳血管障害、クロイツフェルト・ヤコブ病のような感染症、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症などの疾患も、これに当たります。

 

まだら認知症、うつ状態、怒りやすくなる血管性認知症

 これは脳梗塞、脳出血、くも膜下出血といった脳血管障害が原因で起こる認知症です。割合としては男性に多い認知症ですが、女性は閉経後に血清コレステロール濃度が急激に上昇することから、脳血管系疾患をもたらし、認知症の原因となることもあります。

 血管性認知症の原因として最も多いのは、小さい梗塞が多発した多発性脳梗塞と呼ばれる疾患で、そのほとんどが多発性ラクナ梗塞といわれる疾患です。

 この多発性ラクナ梗塞は、まったく無症状であることも多く、発症したことさえ気づかないことも珍しくはありません。しかし、10年以上経過すると、高い確率で認知症を発症することが知られています。

 1980年代までの日本は、認知症の中で、この血管性認知症の患者数がトップを占めていましたが、その後、脳血管障害の原因となる疾患のコントロールが、比較的容易になったことから、脳血管障害だけで重い認知症になる人は減少してきています。

 血管性認知症の特徴のひとつとしては、初期に、記憶障害のほか、頭痛、めまい、麻痺など、さまざまな身体症状が現れるため、発症時期が明らかであるということが挙げられます。

 また、障害された部位によって症状が異なるため、「まだら認知症」(時間帯によって症状がひどかったり、突然われを取り戻したように話が理解できたり、一般に、記憶はかなり壊されているのに判断力、理解力等がある程度保たれている状態)が見られるのも特徴です。さらに、しばしばうつ状態に陥り、ちょっとしたことで怒りやすいのも、この病気の特徴です。

 

行動異常、性格の変化、歩行障害などが現れるクロイツフェルト・ヤコブ病

 クロイツフェルト・ヤコブ病は、脳に感染性を有する異常な蛋白(異常プリオン蛋白)が蓄積して、脳神経細胞を破壊する病気です。行動異常、性格変化や認知症、視覚異常、歩行障害などの症状が出て、数か月以内に認知症が急速に進行し、しばしばミオクローヌスと呼ばれる不随意運動(自分の意思とは関係なく現れる異常運動)が認められます。発病から半年以内に、自分の意思と力で体を動かすこと(自動運動)がほとんどなくなり、寝たきりになってしまいます。

 

③脳を圧迫することで認知症を発症させる正常圧水頭症・慢性硬膜下血腫

 正常圧水頭症と慢性硬膜下血腫は、脳を圧迫することによって認知症を発症させる疾患の代表格です。

 私たちの頭の中には脳脊髄液(髄液)と呼ばれる液体が、脳や脊髄を保護するために流れています。正常圧水頭症はその循環が障害され、脳脊髄液が過剰になって脳を圧迫し、認知機能の低下、歩行障害、尿失禁などの症状が現れる病気です。

 このうち歩行障害が最も早期に現れる特徴的な症状で、下肢の失調あるいは失行によるものと考えられており、両足を広く開いた不安定な小刻み歩行が見られます。

 一方、慢性硬膜下血腫は、軽い頭部外傷(打撲)の後、頭蓋骨の下にある硬膜(脳を包んでいる膜)とくも膜下の間に血液が少しずつ溜まり、血腫となって脳を圧迫する病気です。

 タンスの角に頭をぶつける程度の比較的軽微な外傷でも起こることがあり、必ずしも頭部打撲の程度とは関係なく起こります。

 きっかけとなる頭部外傷の直後はとくに神経症状もなく、頭部CTで異常が認められないことがほとんどです。そのため、病院を受診しない人が多いのですが、その後、通常は3週間から数か月かけて血腫がつくられ、初発症状として片麻痺(半身の麻痺)、言語障害などが現れることもあります。

 そして、血腫が大きくなるにつれて、認知機能の低下、上体の傾斜、歩行障害、よだれを流すといった症状が現れます。

 このように、症状の出現が頭部外傷後かなり経過して起こるため、本人・ご家族もその症状が頭のケガと関係があると気づかれないこともあるので、高齢者の頭部外傷後の注意点として、知っておくとよいでしょう。

「あれ、おじいちゃん、少し変!?」

 と思ったら、速やかに病院に行って検査を受けてください。MRIやPETを撮れば、慢性硬膜下血腫かどうかは、すぐにわかります。

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