症状

水道の出しっぱなし、ガスの消し忘れ、物盗られ妄想が現れる 「アルツハイマー型認知症」

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小松八重子さん(仮名)・初診時78歳・女性

 

 小松八重子さん(78歳・女性 / 仮名)は、小学校の教師を定年まで勤め上げ、その後はご主人と穏やかな生活をおくっていました。お二人ははた目から見ても、とても仲の良いご夫婦で、どこへ行くにも一緒。年に二度の温泉旅行は、定例になっていたそうです。

 ところが、そのご主人が2年ほど前に亡くなりました。それを機に、長男夫婦と同居。その頃から、小松さんにもの忘れが出現するようになったそうです。

 

症状は、次第に進行し、買い物に行くたびに、同じ食品を買ってきたり、水道を出しっ放しにしたり、ガスに鍋をかけているのを忘れて別のことを始めたり……、そんななことが、頻繁に見られるようになりました。お嫁さんが、その都度注意をしていましたが、ますますひどくなる一方でした。

 そして、ある日のこと、

「あなた、私の財布を盗ったでしょう!?」

 小松さんに、「物盗られ妄想」が出現しました。

 そのため、近くのもの忘れ外来を受診。お嫁さんが一緒に付き添って行ったそうです。

 ご本人は、最近、よくものを置き忘れて、捜すことが多くなったことは認めるものの、「年齢のせい」といい、病識はあまりない状態。

 お嫁さんが、

「最近、財布が見つからないことがよくあるが、そういうときは必ず私が盗ったという」

「一緒に探すと、座布団の下とか、冷蔵庫の中から出てきたりする」

 と、医師に説明すると、小松さんは、「あなたが隠したくせに」と、小声で吐き捨てるようにいったそうです。

 

知能テスト、MRI検査の結果、診断はアルツハイマー型認知症でした。

 その日の夜、長男夫婦は、今後、小松さんをずっと自宅で介護していくのか、あるいは施設等に入所させるか、入所させるとしたらいつの時点がいいのか、さまざまな可能性を検討し、話し合いました。

 そして、出た結論は、できるだけ自宅で一緒に生活しよう。ただし、がんばりすぎないこと。行政の支援も活用しよう……ということでした。

 そこで、具体的な検討を進めるにあたり、小松さんの病気の進行度を詳しく調べようと受診をしました。

 

 画像検査の結果、MRI検査では、海馬に明らかな萎縮が見られ、また、FDG-PET検査では、後部帯状回から楔前部にかけて、さらに頭頂葉皮質も、糖代謝低下が確認されました。

 診断は、アルツハイマー病。病気の進行程度は「初期」と判明しました。

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