症状

認知症と高次脳機能障害は症状が似てても全く違います

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高次脳機能障害の症状について

認知症には属しませんが、認知症状があらわれる疾患に「高次脳機能障害」があります。

高次脳機能障害は世代に関係なく発症する病気で、一般には後天的な脳の疾患や損傷によって起こる認知障害全般を指します。認知症も高次脳機能障害も、それまで健常だった脳の機能が、ある時期から低下するという点では同じですが、認知症が一般的には次第に進行していくのに対して、高次脳機能障害は回復する部分があるという点で異なっています。

つまり、高次脳機能障害は、後天性脳損傷が原因の後遺症ですから、悪化が進行するのではなく、その症状に合わせた適切なリハビリテーションを受けることで治療効果が見られ、症状の改善が期待できます。

高次脳機能障害では、

・記憶障害   ・注意障害   ・遂行機能障害   ・社会的行動障害   

・自己認識低下   ・失行症   ・失認症   ・失語症

などの症状が、複数あらわれることが多く、それが原因で対人関係や生活への適応が難しくなります。もし交通事故の後などで突然こうした症状が出たら、高次脳機能障害が疑われます。不幸にも事故に遭 あってしまったら、必ず脳の画像診断を受けて障害の有無を確認することをおすすめします。

ここでは、認知機能が低下するということがどういうことなのか症例を交えて紹介したいと思います。

 

高次脳機能障害のケースその1 Bさん( 10 代・男性)

 

Bさんは7歳のときに交通事故にあい、頭蓋骨骨折という重傷を負いました。

完治はしましたが、学校で先生のいうことを聞かない、怒りっぽくなる、他人とのコミュニケーションがとれないなど、徐々に性格の変化や記憶障害の症状が出てきたそうです。

高校に入学しても、その症状は悪化する一方のようにみえました。親御さんは、事故の後遺症ではないかと考え、相談するに至ったそうです。

母親に伴われて検査を受けに来たBさんは、なぜ検査を受けるのかも理解できていないようで、注射を嫌がるなど、まるで幼い子どものようでした。

MRI検査とFDG-PET検査をしてみると、MRIでは特に異常は確認できませんでしたが、FDG-PETでは明らかに海馬付近の糖代謝の低下が認められ、高次脳機能障害であることがわかりました。

原因がはっきりしたことでBさんの今後のリハビリテーションも決まり、改善に向かうと思われます。

 

高次脳機能障害のケースその2 Cさん( 60 代・女性)

Cさんは横断歩道を歩行中に自動車事故にあいました。

事故直後にCT検査をしましたが異常は認められず、入院せずにそのまま帰宅したそうです。それまで自立した生活を送っていたCさんでしたが、事故後ひとりでは日常生活動作ができなくなったほか、記憶が欠落して思い出すことができないなど、著しい認知機能の低下があらわれました。

検査した事故後3か月のCT検査とMRI検査の画像をみると、CTでは左側頭葉にLDA(低吸収域)という黒い部分がみられ、MRIでは左側頭葉の萎縮などが認められ、グリーオーシスという神経細胞の異常で起こる現象を疑う所見でした。

そこで詳しい検査をすると、MRIでは特に異常は認められませんでしたが、FDG-PET検査では脳梁(のうりょう)と左側頭部に異常が認められ、高次脳機能障害の所見が得られました。

Cさんは一見何の外傷性変化もなく、詐病を疑われていましたが、PETで明らかに外傷性変化であることがわかったのです。

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