悩み

交通事故後、記憶が欠落し、家族の顔がわからなくなる

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永井康子さん(仮名)・当時65歳・仮名

 

永井康子さん(当時65歳・女性/仮名)は、お孫さんを連れて外出していた折、接触事故にあいました。青信号が点滅を始め、対向からトラックが左折してくるなか、横断歩道に飛び出した孫を追って、横断歩道上で、そのトラックに接触したのでした。

 接触は軽微でしたが、永井さんは孫を覆うように抱きかかえ、前傾した状態になったことから、全額部(ひたい)がトラックの前面にぶつかり、その後路上に転倒しました。

 永井さんには、前額部の打撲のほかに目立った外傷、外出血は認められませんでしたが、そのまますぐに救急搬送されました。直後、搬送先の救急病院では頭部CT検査を受けましたが、とくに異常が確認されなかったので、当日そのまま帰宅したそうです。

 しかし、事故から2週間を経過した頃から、不安症様、うつ症様の症状とともに、徐々に以下のような症状が現れるようになりました。

・ 事故当時から過去20年程度の記憶の欠落。

・ 鏡を見ても、現在の姿(シワや白髪が増えた現在の容姿)が、自身のものであることが理解できない。

・ 孫の存在が理解できない(誰なのかわからない)。

・ 現在の娘の姿から、それが自身の娘であることがわからない。

・ 新しいことが記憶できない(新たに学習した記憶を長期間保持できない)。

 また、社交的でなくなったというような、人格の変化も認められるようになりました。

 ご家族は当初、認知症ではないかと疑い、知能検査(長谷川式)を受けさせましたが、結果は良好で、まったく異常はありませんでした。

 けれども、これらの症状がいずれも事故後から出現したことから、ご家族は永井さんをセカンドオピニオン目的で大学病院ほか複数の病院で診てもらい、再度画像検査も行ってもらいました。

 しかし、交通事故外傷に起因する高次脳機能障害との明らかな診断は得られず、自賠責保険でも、当該の後遺障害の認定がなされませんでした。それどころか、「保険金がほしいがゆえの詐病ではないか」とまでいわれたそうです。

 

 その後も、認知症とは異なる永井さんの症状(知能には問題がなく、高度の知的会話も可能、記憶も失われた20年程度のほかの記憶は明確)から、強く事故外傷を疑うご家族が、知人から紹介された弁護士に相談をし、私どもがトラック接触による高次脳機能障害を証明するためのサポートをすることになりました。

 そして、検査の結果、永井さんの高次脳機能障害が、交通事故外傷に起因するものであると結論づけることができました。このことから、ご家族は自賠責保険請求の訴訟に踏み切りました(現在係争中)。

 永井さんご本人は、症状の改善のため、リハビリテーションに励んでいるそうです。対応が早かったこともあり、明らかな治療効果が現れているそうです。

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