アルツハイ

ストレスの長期化=アルツハイマー病を招く調査結果

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

現代はストレス社会といわれています。年齢に関係なく、多くの人がストレスを抱えて生きています。しかし、若くして孤発性アルツハイマー病にかかる人はごく少数です。それは、若い人たちはストレスを受けてホモシステイン酸が増加しても、ホモシステイン酸を代謝する「グルメタートデヒトロゲナーゼ」という酵素をさかんに分泌しているため、体内のホモシステイン酸の濃度が上がらないからだと考えられます。高齢者でも体の働きが活発で元気な方は、この酵素が多く分泌されているため脳の神経細胞へのダメージが少ないのですが、全身の働きが低下していると酵素の分泌も弱く、そのためホモシステイン酸が脳内にどんどん溜まり、アルツハイマー病を引き起こすことになります。また、若い人のストレスは仕事や会社の人間関係、家庭内の問題、あるいは異性との関係が原因になっている場合もあると思います。しかし、これらは的確な対応をとれば解消することが可能で、その多くが時間の経過とともに解決される一過性のものです。長い目で見れば、それほど深刻ではなく長期化することもありません。ところが、高齢者の抱えるストレスの多くはそうではありません。

ストレスの長期化が危ない

ある短期大学の学生が、デイサービスに通う高齢者に対面式のアンケート調査をしたところ、もっとも多いストレスは次のとおりでした。

・配偶者の死亡

・目や耳や関節が不自由になるといった自分の体の不調

・外出するのが億劫になる

・社会や家族からの孤立による寂しさ・意欲がわかなくなる

この調査結果からもわかるように、高齢者の場合は喪失体験や心身の不調など、改善があまり期待できず、強い不安が長期化してしまうような悩みがストレスになっていることが多いといえます。さらに、高齢者は若年者と比べて、ストレスからの回復が遅く、ストレス反応が持続しやすいということもあげられます。このストレスの長期化が、アルツハイマー病を招くといっても過言ではありません。

Confused Senior Woan With Dementia Looking At Wall Calendar

若者より深刻な高齢者のストレス

高齢者と若年者のストレス反応をみるための実験をしました。

被験者に「1000から7ずつ数を引いていく」連続計算をしてもらい、自動血圧計で血圧を測定しました。ストレスが現れた人は、交感神経が活性化して血圧が上昇します。さて、高齢者と若年者のいずれも血圧が上昇しましたが、その後の血圧の変化に相違が出てきました。若年者はこのストレスに順応した結果、血圧が元に戻ってきましたが、高齢者はいつまでも上昇したままでした。つまり、高齢者はストレスに順応できないでいるということです。そのときにホモシステイン酸は、どのように反応するのでしようか。ストレス反応が持続すれば、高濃度のホモシステイン酸が出てきます。この場合、若年者では、前述したホモシステイン酸の代謝酵素も活性化し、ホモシステイン酸濃度の上昇を防いでいます。しかし、高齢者の場合は、この代謝酵素の活性化が抑制されて、ホモシステイン酸の濃度の上昇をきたします。

あるいは、アミロイドβとの関係ですが、高齢者はアミロイドβの蓄積が始まっていて、そのアミロイドβと神経細胞に作用している低濃度のホモシステイン酸によって、神経細胞内にアミロイドβがさらに蓄積し、その結果、神経変性が誘導されてくると考えられます。

そして、ストレスを受けて分泌された高濃度のホモシステイン酸は、それとは別に、単独で神経変性を誘導するのです。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
  • LINEで送る

SNSでもご購読できます。